●気密性能と自然換気回数

 気密性能が高いほど自然に換気する回数は減少します。これは家の隙間がなくなりますので、当然の現象といえます。上の表でわかるように自然換気については、

●室内と室外の温度差が大きいほど自然回数は増える

●相当隙間面積が小さい(気密性能が高い)ほど自然換気回数は減少する
ということがわかります。

 現在の一般的住宅の相当隙間面積は2.0〜5.0ですから、内外の温度差が30℃を超えないと適正な換気回数(換気回数の目安は1時間当たり0.5回)は達成できません。
すなわち、自然換気だけでは慢性的に換気不良の状態になるということです。現代の住宅では自然換気だけで換気をしようとすることは無理があるのです。
ただ、ここで注意をしなければならにのは、機械換気を設置するには今度は相当面積は限りなくゼロに近いほうがよいということです。従ってこれまでの住宅に単に機械換気の装置だけを取り付けても換気不良が解消されるということにはなりませんので、ご注意をいただきたいと思います。

1.住む人の健康に最も重要な「換気」

 人間が健康に暮らすために最も必要なものはきれいな空気です。人は一日に約30kgの空気を呼吸によって吸っています。食べ物は一日にだいたい2kgくらい、飲み物も1〜2リトッル程度ですから、空気の質が人体に与える影響は意外に大きいと言えます。
従って家の中の空気をきれいに保つことはそこに住まう家族の健康を守るという点で非常に大切な家造りのポイントになります。
家の中の空気をきれいに保つことはしっかりと換気をすることを意味します。外の空気は室内の空気に比べて汚れていると思っている方が多いかもしれませんが、実は外の空気のほうがきれいなのです。実際にホコリの量を測定してみるとたいていの場合、室内の空気に含まれるホコリの量は外気の3倍くらいです。
ですから汚れた室内の空気を排出し、外の新鮮な空気を取り入れる「換気」を常に行うことで室内の空気質を高く保つことができます。


2.機械換気には高気密化が必須条件

 換気には窓を開けたり、煙突の上昇気流を利用したりする「自然換気」と換気システム(機械による強制換気装置)を導入する「機械換気」とがあります。
さらに機械換気には第1種〜第3種までの種類が存在しています。
機械換気を導入する場合の最も大切なことは、住宅の気密性能です。どんなに高価な換気装置を設置しても住宅の気密性能が高くなければ、きちんとした換気はできません。
 ここでいう「きちんとした換気」とは、家中の汚れた空気が排出され、外の新鮮な空気と入れ替わることを意味します。
気密性能の悪い住宅では、設計した給気口や排気口からではなく、余計なすき間から空気が出たり入ったりするため、家の中の空気がきちんと入れ替わることができません。理想的な換気とは、注射器で空気を押し出すようにまったくすき間のない状態で、新しい空気が古い空気を押し出していくようなイメージです。(実際には古い空気を強制的に排気することで新しい空気を吸引しているのですが...)
従って、住宅の気密性能(相当隙間面積)は1.0cu/u以下である必要があります。
 これは数々の実験や測定でもあきらかにされており、気密性能が高ければ高いほど換気効率はよくなります。
そして、床面積40坪くらいまでの住宅で家族4〜5人での生活であれば、必要な換気量は1時間あたり約120〜150m3になります。この量を24時間常に換気をすることで室内の空気をいつもきれいに保つことができるのです。

3.換気不良は万病のもと!!
 近年、子供のぜんそくやアトピー性皮膚炎が増加しています。上の図にもあるように室内のホルムアルデヒド濃度が高くなると子供のぜんそく率も上昇していきます。
ホルムアルデヒド濃度は室内の空気質汚染を図る目安になります。ホルムアルデヒドそのものがぜんそくの原因になるわけではありません。すなわちホルムアルデヒド濃度が高くなるほど室内が換気不良の状態にあるということです。

 ビルなどは二酸化炭素濃度で空気質を測定し、これには一定の基準が設けられて管理されています。ところが住宅にはこれと同様の基準はありませんでした。ようやくホルムアルデヒドなどの人体に有害な物質数種類に目安となる濃度の基準が示された段階です。その値はホルムアルデヒドの場合、0.08ppm以下というものです。これは窓がほんの数センチ開いている状態で達成できるものですが、現在の密閉的に作られた住宅では多くのものがこの基準をクリアできない状態です。
この基準値(目標値)をクリアするためには適正な換気を行うことが重要です。最近ではノンホルム建材などを使えばホルムアルデヒド濃度を抑えられるというふうに考えている方もいるようですが、ホルムアルデヒドは建材だけでなく、引越しのときに持ち込まれる家具などにも大量に使用されているため、きちんとした換気を行っていないと適正な濃度に空気質を保つことはできないのです。
また、ホルムアルデヒド以外にも人体に悪影響を及ぼす物質(VOC)があります。これらの多くはむしろホルムアルデヒドよりも有害な物質が多いので、換気の必要性についてはよく勉強していただきたいと思います。
 

  

4.換気システムの種類
高気密・高断熱住宅において換気システムが不可欠であることはご理解いただけると思います。というよりもこれまで「換気」についての知識や論理があいまいであったために、ぜんそくやアトピー性疾患などの病気が増えてきてしまったのであり、これを解決するためには「換気」を適正に行うことの必要性がようやく理解されてきたのです。
従って、住む人が健康に暮らすために「換気」が必要であり、そのために住宅を高気密化して適切な換気を行える基本性能をもつ家造りが行われるようになったのです。
ここで簡単に機械換気システムの種類を説明します。

【第1種換気 ・・・ 強制排気+強制給気】
この換気システムは、排気、給気ともに機械によって行う方式です。「熱交換型」と呼ばれる換気システムはほぼこの第1種に属します。この方式は気密性能の悪い住宅の場合、機械によって排気と給気を行うので有効です。ただし、本来外の新鮮な空気を家の中に取り入れるべきですが、この方式ではダクトを通って室内に給気されるのでダクト内の汚れやカビなどに気をつけていないと新鮮な空気を取り込むことにはなりません。また、熱交換をするエレメントは目の細かいものが多いので定期的にきちんとメンテナンスをしておかないとすぐに詰まってしまい、役割をはたさなくなります。

【第2種換気 ・・・ 自然排気+強制給気】
この方式は給気を機械によって行い、排気は自然に行う方式です。この場合、室内の圧力は加圧になるので外からのホコリの侵入などがなくなります。このため、一般の住宅よりは工場や研究所のクリーンルームなどで用いられる場合の多い方式です。一般住宅ではカナダで採用されるケースがありますが、あまり多くはありません。

【第3種換気 ・・・ 強制排気+自然給気】
この方式は排気を機械により行い、給気は自然に行う方式です。この場合、室内の圧力は負圧になりますので、壁に設けた給気口(穴)から自然と空気が室内に取り込めることになります。現在、日本の住宅に採用されている最もポピュラーな換気方式です。この場合、給気口はリビングや主寝室などの人が生活のメインとする居室で、排気をするのはキッチン、トイレ、お風呂などになるため、最も新鮮な空気を生活する人間が呼吸し、トイレやお風呂などのにおいや過剰な水蒸気とともに汚れた空気を外に排出するということになります。また、換気装置が単純な仕組みでよいため、コスト(電気代)も安く済む方式です。